数学科専門教育科目の授業概要

数学コースの平成28年度以降の入学生に適用される内容です。

30科目を超える授業が4年間にわたって配置されており、それらは大きく理学基礎科目総合科目基礎科目体系科目発展科目課題科目の4種類に分けられています。どの科目をいつ履修すればいいのかは“数学科の開講する専門科目”のページを見るとわかります。


理学基礎科目

微積分I
1変数関数の微分積分学の標準的内容を解説する。 具体的な内容は、関数の極限、連続関数、導関数、平均値の定理、不定形の極限、Taylor の定理、微分法の応用、不定積分、定積分、広義積分、積分法の応用など。
微積分II
多変数関数の微分積分学の標準的内容を解説する。 合わせて演習時間を設けることで、これらの概念に対する理解を深める。 具体的な内容は、偏微分と全微分、多変数関数のテイラーの定理、極値、陰関数、重積分、重積分の応用など。
線形代数I
ベクトルや行列およびそれらの演算について解説する。その後、連立一次方程式、行列式、行列の固有値、行列の対角化などについて解説する。 具体的な内容は、平面のベクトルとその応用、行列、連立一次方程式と行列、逆行列と正則行列、行列式、余因子展開、クラメールの公式、ベクトル空間と部分空間、線形変換と固有値、内積空間、行列の対角化など。
線形代数II
ベクトル空間の中で最も基本的かつ重要な例である数ベクトル空間の理論について解説する。 具体的な内容は、数ベクトルと行列、集合と写像、数ベクトル空間と線形写像、線形写像の像と核、行列の階数、行列式、余因子展開、ハミルトン・ケーリーの定理など。
確率統計学
偶然事象の取り扱い方の基礎的内容を解説する。 具体的な内容は、資料の整理、代表値、確率とその計算、確率変数、平均値、分散、2項分布、正規分布、中心極限定理、母平均の推定、母平均の検定など。

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総合科目

数学序論
数学とはどういう学問なのかを、身近な現象を手掛かりに解説する。 具体的な内容は、「教科としての数学」と「学問としての数学」の違い、 置換パズルを分析 (ルービックキューブ、15パズル、スーパーリングあみだくじ、神のアルゴリズムとケーリーグラフ)、グラフ理論で解析 (スネ夫の定理、ケビン・ベーコン指数、Googleの秘密、イチローの評価、スウェーデン語単語の構造、グラフと整数行列)、整数で遊ぶ (素数、完全数、ルース・アーロン数、ハッピー数、インフルエンザ患者の数列、ディオファントス方程式、実験計画とアダマール予想、整数の神秘)、美を探究 (地震波データの可視化、視覚復号型秘密分散法、北欧デザインの数理)など。

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基礎科目

数学基礎
数学科の専門科目を学ぶ上で必要となる集合・写像の話題を取り上げ、 論理的な議論に重きを置きながら解説する。 合わせて演習時間を設けることで、理解を深め証明法を身につける。 具体的な内容は、集合の演算 (和集合、共通部分、差集合、直積集合)、写像の基礎概念 (像、逆像、全射、単射)など。
線形空間論
抽象的に定義された線形空間や線形写像の基本的な性質および線形写像の固有値問題について解説する。 合わせて演習時間を設けることで、これらの概念に対する理解を深める。 具体的な内容は、線形空間とその基底、線形写像とその表現行列、内積、固有値と固有ベクトル、行列の対角化など。
代数学I
群論の基礎的内容を解説する。 合わせて演習時間を設けることで、これらの概念に対する理解を深める。 具体的な内容は、二項演算と代数系、群の定義と例、生成系、正規部分群と剰余群、準同型写像と準同型定理、対称群、巡回群など。
集合と位相I
数学基礎に引き続き、集合と写像に関する基本的な概念を解説する。 合わせて演習時間を設けることで、これらの概念に対する理解を深める。 具体的な内容は、同値関係、商集合、集合の濃度、可算および非可算集合、順序集合など。
集合と位相II
距離空間の基本的な概念を解説する。 合わせて演習時間を設けることで、これらの概念に対する理解を深める。 具体的な内容は、距離空間、連続関数、開集合、閉集合、点列の収束性、点列コンパクト集合、完備距離空間など。
解析学I
解析学における基本的な概念と関数の振る舞いを調べるための方法を解説する。 合わせて演習時間を設けることで、理解を深め論証する力を身につける。 具体的な内容は、数列の極限、上限・下限、実数の連続性、関数の極限、連続関数、級数の収束、関数の微分など。
解析学II
解析学Iに引き続き、解析学における基本的な概念と関数の振る舞いを調べるための方法を解説する。 合わせて演習時間を設けることで、理解を深め論証する力を身につける。 具体的な内容は、定積分、広義積分、関数列の各点収束と一様収束、極限関数の微分・積分、関数項級数、収束半径、項別微分・項別積分など。
コンピュータ基礎
コンピュータによる計算に必要となる基礎的な概念を解説する。 合わせて演習時間を設けることで、理解を深め具体的な操作を身につける。 具体的な内容は、2進整数、補数、浮動小数点数、プログラムの順次構造・条件分岐構造・繰り返し構造、配列、関数、C言語によるプログラミングなど。

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体系科目

代数学II
環・体論の基礎的内容を解説する。 具体的な内容は、環・体の定義と例、イデアルと剰余環、準同型写像と準同型定理、多項式環、一意分解整域など。
代数学III
体論、特にガロア理論の基礎的内容を解説する。 具体的な内容は、拡大体、分解体、代数的閉体、ガロア拡大、ガロア群、円分体、有限体、ガロアの基本定理など。
位相数学I
位相空間の基礎的内容を解説する。 具体的な内容は、近傍空間、位相空間、連続写像、同相写像、部分空間、直積空間、コンパクト空間、商空間など。
位相数学II
位相数学Iに引き続き、位相空間および距離空間の基礎的内容を解説する。 具体的な内容は、連結空間、弧状連結空間、距離空間のコンパクト性、完備距離空間とその応用など。
幾何学I
曲線論および曲面論を微分幾何学的観点から解説する。 具体的な内容は、平面曲線の基本定理、線積分とグリーンの公式、ガウス写像とガウス曲率、曲面上の曲線の曲率、ガウス・ボンネの定理など。
幾何学II
位相幾何学と力学系の基礎的内容を解説する。 具体的な内容は、被覆写像、写像度、Brouwerの不動点定理と一致定理、ホモロジー群、一般次元の不動点定理と一致点定理、力学系の基礎、ロジスティック写像など。
複素解析学I
複素数と複素関数に関する基礎的内容を解説する。 具体的な内容は、複素数、複素平面、複素関数、複素級数、初等関数、正則関数、Cauchy-Riemann の関係式、調和関数、複素積分、Cauchy の積分定理など。
複素解析学II
複素解析学Iに引き続き、複素解析学の基礎的事項を解説する。 具体的な内容は、べき級数と収束半径、関数列と関数項級数、正則関数のべき級数展開、一致の定理と最大値の原理、特異点と極、ローラン展開、留数と留数定理など。
微分方程式論I
常微分方程式の基礎的な理論を解説する。 具体的な内容は、変数分離形の方程式、1階線形方程式、2階定数係数線形方程式、2階変数係数線形方程式、Picard の逐次近似法など。
微分方程式論II
微分方程式論Iに引き続き、常微分方程式の基礎的な理論および、未知関数が2変数以上の関数である偏微分方程式の初歩を解説する。 具体的な内容は、行列の指数関数、定数係数1階線形方程式系、Picard の逐次近似法、波動方程式、Cauchy 問題、初期-境界値問題、Fourier 級数など。
確率統計I
確率論の基礎を解説する。 具体的な内容は、確率変数、確率分布、平均値、分散、正規分布、中心極限定理、大数の法則など。
確率統計II
統計学の基礎理論を解説する。 具体的な内容は、標本と母集団、相関、区間推定、最尤法、検定など。
情報数理学I
数値解析学の基礎を解説する。 具体的な内容は、ガウスの消去法、ガウス-ザイデル法、非線形方程式とニュートン法、行列の固有値問題とヤコビ法、台形公式、中点公式、シンプソンの公式、常微分方程式の離散化、常微分方程式とルンゲ-クッタ法など。
情報数理学II
離散数学の諸問題をコンピュータで解く際の代表的なアルゴリズムを解説する。 具体的な内容は、ソーティング(選択ソート、挿入ソート、クイックソート、マージソート)、グラフ理論(グラフ、最短路問題)、RSA暗号系など。
数理論理学
数理論理学のアイディアと形式的推論の方法論を解説する。 具体的な内容は、命題論理式、推論規則、形式的証明、ブール代数、命題論理のコンパクト性と完全性、述語記号、関数記号、量化、保守拡大、数学的構造、モデル、群・体・自然数の公理系、公理化可能性、述語論理の完全性、コンパクト性と超準解析、レーヴェンハイム・スコーレムの定理など。

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発展科目

代数学続論
代数学の発展的内容を扱う。 例えば、リーマンゼータ関数について、その性質を主に複素関数論的手法を用いて解説する。 具体的な内容の候補は、ガンマ関数、リーマンゼータ関数、素数定理、ディリクレL関数、ディリクレの算術級数定理など。
位相数学続論
位相数学の発展的内容を扱う。例えば、位相空間のコンパクト化を、直積空間と連続関数環の2つの観点から解説する。 具体的な内容の候補は、直積空間、Zornの捕題、コンパクト空間、チコノフの定理、Stone-Cechのコンパクト化、 連続関数環とその構造空間など。
幾何学続論
幾何学の発展的内容を扱う。例えば、幾何学的群論の基本事項を解説する。 具体的な内容の候補は、群の表示、ケーリーグラフ、擬等長、基本群、双曲幾何、双曲群など。
解析学続論
解析学の発展的内容を扱う。例えば、偏微分方程式論の基礎的かつ重要な事項について解説する。 具体的な内容の候補は、熱方程式、基本解、コーシー問題、ラプラス方程式、調和関数、ニュートンポテンシャル、波動方程式、関数解析の初歩、ヒルベルト空間、ソボレフ空間など。
確率統計続論
確率統計の発展的内容を扱う。例えば、実解析の基本的な考え方を解説する。 具体的な内容の候補は、Lebesgue 測度、可測集合、測度の連続性と Borel 集合、可測関数、Lebesgue 積分、収束定理、Fubini の定理など。
情報数理学続論
情報数理学の発展的内容を扱う。例えば、3次元数学の基礎である、座標系、ベクトル、行列の扱い方を解説し、 Processingを用いて実際のグラフィックスの描画を行う。 具体的な内容の候補は、座標空間、Processingのコード、基本的な図形の描画、メディアの扱い方、3次元への拡張、動きの制御、関数の扱い方、オブジェクト、配列の扱い方など。

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課題科目

微積分演習
理学基礎科目「微積分」の内容の演習を行う。
線形代数演習
理学基礎科目「線形代数」の内容の演習を行う。
数学セミナーI
少人数によるセミナー形式の授業。 自主的に勉強する内容を設定し、輪講形式によって数学的思考力や表現力を身につける。
数学セミナーII
少人数によるセミナー形式の授業。いくつかのテーマ(教員)の中から希望のものを選択し、 輪講形式によって数学的思考力や表現力を身につける。
卒業研究I, II
いわゆる卒業ゼミ。 いくつかのテーマ(教員)の中から研究課題を選び、教員の指導のもと、 4年間の勉強の総仕上げを行う。 専門書を輪読し、セミナー形式で討論を行って、数学的思考力や表現力をさらに高める。

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