複数の計算機が協調して計算を行う場合には、1つの計算機で計算を行うときには生じないような問題が現れます。このような問題を扱う並列計算を中心に研究しています。 このような問題は計算機が生まれてから現れた問題というわけではありません。 たとえば鉄道の分野ではそれらの問題が事故に結び付く事がわかっており、事故が起きないような仕組みが昔から研究されています。
哲学者の食事問題 |
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一つの丸テーブルを囲んで5つの座席があり、テーブルには5本のフォークが用意されています。ここへ哲学者たちが三々五々やって来ては食事をするのですが、一人が食事をするためには、左右2本のフォークが必要です。哲学者たちは食事の時も考え事に夢中なので、お互いにフォークを譲り合ったりせず、隣の哲学者が食べ終えてフォークをテーブルに置くまで待っています。
食べ始めたのが4人までなら、少し時間はかかっても食事は終わりますね。では、5人が同時に食事をしようとするとどうなるでしょうか? この問題は、一人一人の行動は滞りなく動作するのに、みんなで一斉に行動しようとすると、みんなの動作が滞る状況(デッドロック状態)が起ることを示しています。 哲学者の食事問題でデッドロックが起れば哲学者が飢えるだけですが、鉄道では列車の衝突事故という大惨事を引き起こします(日本でも実際に起きています)。 このような状況を、実際に動作させてではなく、動作を記述する方程式(プログラムなど)から求める事で、動作させる前に問題のある状況が発見できます。 |
数理科学にさまざまなところに出てくる方程式を、計算機を使って効率よく正確 に解くためにはどのようにしたらいいかを研究する分野です。
右の図はひねった単純閉曲線の中の極小曲面を、有限要素法という手法で近似したもので
す。曲面が自分自身と交叉しているため、せっけん膜を使った実験では再現でき
ず、計算機実験によりはじめて視覚化されたものです。